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メトロ全駅に防犯カメラ…課題はプライバシー(読売新聞)

 乗客同士のトラブルや駅員に対する暴力への対策のほか、混雑時の乗客誘導にも活用しようと、東京メトロは今年度中に、高画質・高機能の新型防犯カメラを地下鉄全駅の構内に設置する。

 各駅の様子を1か所で同時に把握できるのが特徴で、テロ対策にも活用できる。京急電鉄も遠隔操作できる新機種を導入するなど、鉄道各社の多くが防犯カメラを拡充している。

 その一方で、運用のルールは開示されておらず、識者からは「乗客に不安を与えないためには、まずルールを公表すべきだ」との指摘が出ている。

 東京メトロは3月末、2007年度から各駅に順次設置している新型の防犯カメラ「セキュリティカメラ」について、これまでの117駅から10年度は全170駅に設置を拡大し、台数も、昨年度より1832台多い計6542台に増やすと公表した。

 セキュリティカメラは、遠く離れた駅の画像をインターネット回線で総合指令所や本社に送り、同時に確認できる機能がある。これにより、昨年10月、台風18号で東西線の東陽町―西船橋駅間が約5時間、運行を停止して約29万人に影響が出た際は、各駅の混雑状況を確認し、利用者の誘導に役立てることができたという。

 ハードディスクに記録することから高画質の映像の保存が可能になり、保存期間も、旧型では1週間ごとに上書きしていたが、新型カメラは1か月と長くなった。

 同社は、今年3月29日にモスクワの地下鉄で連続自爆テロが起きたことなどから、「防犯カメラはテロ対策でも重要。乗客や社員の安全確保や事件発生後の事実確認などの点でも拡充の必要がある」と説明する。

 全70駅に440台を設置している京急電鉄も、増設していく方針で、07年以降、ホーム上で緊急事態が起きた時、撮影する角度を変えたり、ズームアップしたりして確認できるカメラ1台を利用客が多い品川駅のホームに設置した。JR東日本も、駅の改札口やホーム、階段などに計約1万台の防犯カメラを設置している。

 カメラの運用や映像の保管では、プライバシー保護のための配慮が必要になるが、運用ルールについて東京メトロは「防犯上の目的から、規定の詳細の公表は控える」としている。記録した映像は、犯罪捜査のために警察・検察に渡す場合もあるとしているが、これまでに提供した件数も明らかにしていない。東京の多くの大手私鉄もカメラの運用ルールは公表していない。

 これについて、立正大の小宮信夫教授(犯罪社会学)は「高性能カメラなど、ハイテクの利用は止められない社会的な流れ。しかしルールの開示がなければ、『ちゃんとやっている』と言われてもそれを担保する手段はない。画像の不正利用を防ぐためにも、ルールの公開は必要」と指摘している。

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